はしくれ
日本ダービーが終わり、外れて意気消沈したはしくれでしたが、敗戦後に思うことは、また次のレースで狙うという気持ちです。
外れた予想家にできることとは、回顧と次を狙うことですから、気持ちの切り替えとしては次走を大事にしていかないといけません。
ですがきっちり回顧を行って、これはこうだったなと思う時に、ダービーでは特に厳しいと見たサトノレイナスに触れませんでした。
そこで今回はサトノレイナスをはしくれはどう見たのかについても、レース回顧とは別に一記事でお伝えしていきたいと思います。
目次
ルメール騎手は好騎乗
まず鞍上のルメール騎手ですが、はしくれは凄いと思いましたし、完璧ではないにしろ良い競馬ができたという弁には共感です。
ダービーの回顧を眺めていると後ろから行った方が良かったと、感想を持つ方もいるのですが、はしくれはそうは思っていません。
これにはかなり予想技術的に重要な意味が含まれてもいて、むしろルメール騎手が上手なのはこのためだろうとも思うほどです。
そこで好騎乗と言える所以を2点お伝えして参りますので、まずはひとつ目の「馬場読み」について早速お伝えして参りましょう。
ダービーはオークスとは違う
まず日本ダービーの馬場ですが、オークスとはラチの位置が違って、BコースからCコース替わりで内目の傷みが少なくなります。
これが近年のダービーにおいて1枠1番が強い理由の、一因になっているところですが、今年もインはやはりきれいでした。
オークスはBコースの開催で4日目にあたる開催ですから、前週に使っている影響を少なからず受けることになります。
実際ダービーよりもオークスは傾向的にも差し馬が強く、ソダシが前で粘れなかったのも、これが色濃く影響しています。オークス2021過去10年の傾向とイチオシ
つまりサトノレイナスはオークスで普段通りの競馬をしていれば、あっさり差し切って突き抜けていた可能性もあったというわけです。
しかしダービーは前が止まらない馬場状態が前提でしたから、ペースが落ち着いてしまった以上、前に付けざるを得ないものでした。日本ダービー2021過去10年の傾向とイチオシ
実際目黒記念は前々で運んだ馬が粘り抜きましたし、むしろ末脚も伸ばしたくらいで、ペースも相まって楽勝でした。目黒記念2021結果&馬体診断・優勝はウインキートス
一見ダービーは差し馬による瞬発力勝負には見えますが、馬場状態としては前が粘る状況だったことを裏付けます。
人気を背負い、期待を知りながら、レイデオロも勝たせた舞台ですし、技術・経験・度量の3テンポ揃わなければできない騎乗です。
ワンツー2頭はインで脚を溜め、最後末脚を伸ばしましたから、ずっと外々を回っていたなら結果的に伸びたかは疑問です。
この点、むしろ後方のままなら不発の可能性もあったほどで、馬場を考慮したポジション取りには凄いと言わざるを得ませんでした。
緩みで仕掛ける
そして好騎乗のふたつ目として、特に取り上げたいことなのですが、馬場だけでなくペースも考えて位置取った判断力があります。
サトノレイナスはその枠の外に逃げ宣言のバスラットレオンで、ライバルが先に出していく以上、自身は出しにくい枠順でした。
スタートを決めたうえでも「どうぞ」と譲らねばならない枠順ですし、実際スタート後は行かせてから軽く押し出す競馬をしています。
ただでさえ外枠は過去10年、連対馬さえも1頭しか居ず、それも道中動いて勝ち切ったワグネリアンしかいないところです。
正直前につけるとは思えず予想では切ったはしくれでしたが、ルメール騎手が機を見て出した時、「やられるかも」と思ったほどでした。
これはコーナーでのロスを防いで、馬場の良いところを回れるためで、この僅かな差が最後も響いて粘り切るかもと思ったからです。
実際最後はスタミナ切れでか外に膨らんだ直線でしたが、最初同馬が位置取ったところをワンツーした馬が走っています。
最初「どうぞ」と譲らねばならない状況からのリカバリーを含め、スタミナを要する外をなるべく回さずに直線へと出しました。
これだけ魅せる騎乗をしたうえで、動いて行った場所もドンピシャリで、後半ラップが最も緩んだ1400m地点でした。
ペースが緩んだところで出すのが最も馬には易しいですから、きちんと馬のスタミナも考慮し、最大限走ったと思います。
ルメール騎手はこうした緩流が最も得意な騎手と言えますし、同騎手の持ち味が光っていた、切った側には怖い騎乗でした。上手い騎手とは何か
これからも見たい人馬の挑戦
はしくれは馬には乗れませんので、騎乗技術には触れられませんが、予想家ですから馬場やペースから競馬の内容は解き明かせます。
これらを知るといかに鞍上には信頼できる騎手が乗っているか、大事と言わざるを得ないところで、5着でも戦慄の騎乗でした。
また、サトノレイナスという馬にも改めて驚かされたのですが、前走レコード上がり最速の反動は感じられませんでした。
かのアーモンドアイでもオークスは「精一杯走った」とコメントが、ルメール騎手から聞かれましたから初距離の影響だけに見えます。
それも決して距離の適性にも問題があったようにも感じず、馬体も細化していなかったので、本当にタフな馬と思います。
ウオッカが制したダービー時よりも、枠や相手関係が厳しいと、準備はいいですか?で述べましたが影響はそれくらいのものでした。
もしもっと枠が内枠だったら、早目にポジションが取れていたなら、着差も僅かですし馬券内に食い込んでいただろうと思います。
そうしてそう思わせる騎乗から、感動をくれたルメール騎手には、改めてこのような好騎乗を、また見せてくれたらと願います。
そしてその好騎乗にも応えて厳しい競馬で5着に入った、サトノレイナスの今後の走りも、またとても楽しみにしています。