重馬場。
競馬予想をしていると必ず雨の日の開催にあたりますが、コースが水を含み重くなると「重馬場」という状態になります。
この状態には3段階あり、稍重(ややおも)→重(おも)→不良(ふりょう)と呼ばれますが、不良に近づくほど芝コースはタイムが伸びにくい馬場となります。
不良馬場にまで至ってしまうとコースに水が浮いてしまうような、水たまりや泥んこ馬場になって馬もスピードを出しにくいのです。
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はしくれ
競馬予想家はこうした馬場にも注意しなくてはならないのですが、馬券的中のためには一体、どんな注意を払うべきでしょうか。
そこで今回はついにはしくれの予想法を開示致しますので、馬券的中のための一考にしていただければ幸いです。
はしくれ
目次
重馬場・不良馬場の競馬予想法
天気の確認
まず重馬場・不良馬場の際にも通常の競馬予想と同じで、予想する競馬場の天候を確認することが第一でしょう。
当然ですが雨が降らなければ馬場が重たくはなりませんから、予想するレースではどれくらいの降雨があるのかを確かめましょう。
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当日と翌日の予報からは降水量予測も見られるので、はしくれはこれを使って大体馬場の湿り具合を予想します。
1時間に1~2mmくらいなら芝コースは水はけも良いために、良馬場のままのこともありますが、これは総雨量に左右されます。
対して1時間に5mm以上降雨が見込まれるようなときには、その時間内に段々と馬場が悪化していくと考えましょう。
その変化は先程述べたように良→稍重→重→不良と推移し、芝コースでは不良に向かうほど、ゴールまでのタイムがかかるのです。
このため降雨予報のレースでは予想家はまず競馬予想よりも、天気予想が必要になるため、手間がひとつ増えることになります。
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どれくらいの重さになりそうかは、競馬予想には重要なことで、馬場状態次第では着順に大きな影響がおよんできます。
総雨量が15mmを超えると馬場は確実に重たくなるので、この点を意識しながら予想にじっくりと取り組んで参りましょう。
重馬場実績の確認
それではいざ重馬場になったとき、その巧拙を予想するためには、一体どの部分に注目して予想を進めれば良いのでしょうか。
これは実は簡単な方法がひとつ挙げられるところなのですが、それが予想するレースに出ている、馬の実績を見てみることです。
こちらは先の画像で掲示したリスグラシューの成績なのですが、JRAのホームページでは一覧での確認が可能です。
出走馬の馬名を押したあとで「レース条件別成績」を見て、「馬場状態別成績」を見れば一発で実績が分かるのです。
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競走実績が増えていくほど成績がはっきりとしてくるので、まずはこの点を欠かさず確かめ、予想の精度を上げていきましょう。
スタミナが重要に
重馬場というとパワーが問われるレースになると思われがちですが、はしくれはそれよりも大事なのは「スタミナ」であると思っています。
それは重馬場になるとのめったり、上滑りする馬場になりますから、パワーがあることが論理的にもプラスになるとは言えないからです。
芝馬場は良馬場のときと比べ脚が滑りやすい状態なので、パワー重視だとよりのめりやすく速力が削がれると考えます。
ダートのようにサラサラとしているクッション性とも質が違うので、まさにもがけばもがくほどにハマる泥沼馬場になってしまうのです。
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そこで長年予想を繰り返し理論を検証してきたのですが、馬体面でもパワータイプよりもスタミナタイプの方が強いです。
このことは拙著「シークレットオブパドック」で詳しく書きましたから、併せてご覧いただくことにより、ご理解が深まるかと思います。
重馬場のようにスリップしやすい馬場は馬も注意して走るため、精神力の消耗も含めてパワーよりもスタミナが大事です。
このことから「重馬場スタミナ論」を掲げてお話しを致しますが、当コラムはこれを基本に据えて展開していきたいと思います。
「時計がかかる」とは
さて重馬場になると言われるのが「時計がかかる」という言葉ですが、これはゴールまでの走破タイムが遅くなることを表しています。
そうなると何が起こるかというと距離適性がギリギリの馬には、よりゴールが遠のくことを示し、スタミナが要ることが分かるのです。
これは時間がかかることによって実際に走っている距離よりも、より多くのスタミナを競走で消耗することを意味しています。
競馬では1ハロン(200m)では大体11~13秒くらいで、時計が推移していることからも秒単位の変化は重要です。
もし使う距離が適性的にもギリギリという馬がいたとしたら、5秒遅ければ100mほど長く走ることに匹敵します。
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そのためはしくれは重馬場の際、見極めるポイントがひとつあって、出走距離より1ハロン長い距離が走れるかどうかを見ます。
それは予想する出走馬中の個々の馬の実績を紐解いて、1ハロン長い距離でも連対実績が有るかを調べるのです。
1ハロンの壁
昔短距離の名馬にサクラバクシンオーという馬がいましたが、マイル戦では連対があっても、勝利経験はありませんでした(1マイル=1600m)。
重馬場で2回走ってどちらも4着以下という実績ですが、はしくれはこれだけを見て同馬が重馬場不得手とは考えません。
実際同馬が重馬場を走り4着以下だったレースは距離が、それぞれ1600mと1800mのレースでした。
1400m以下の距離は良馬場しか走っていないために、実際には重馬場もこなせたと個人的には考えています。
それというのも予想段階ではもし1400mの距離で、重馬場になったとしたら同馬をこのように考えていくからです。
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このような思考で予想の際は攻略の手がかかりを得ていますし、実際にこの思考法を使い不良馬場を当てたこともあります。
それでは実際の予想を見つつ結果を振り返って参りましょう。
不良馬場時の実際の予想
画像は中山牝馬ステークス2021のゴールシーンで、優勝は最後外を差し切ったランブリングアレー(13番)で決まりました。
インで粘ったロザムール(11番)にしてもかなりの僅差で競馬しましたが、はしくれはこれを公開予想で〇◎で的中しました(7→5番人気)。中山牝馬ステークス2021結果&馬体診断・優勝はランブリングアレー
このレースは雨予報が出ており道悪(みちわる:馬場が悪化すること)が想定されたのですが、まずはこのレースの過去傾向を精査することから着手しました。
重馬場になると良馬場と違い、特定の傾向が現れたり、トップスピードに乗りにくいことで末脚が伸びないことがあります。
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この中山牝馬ステークスでは重馬場時に前が残りやすくて、差し馬には厳しくなりやすいと判断できるデータがありました。
そこでメンバー構成を確かめ、単騎逃げが見込めそうな馬だと、ロザムールを本命にしましたが理由はひとつだけではありません。
このロザムールは重実績でも芝では4戦全馬券内と、重馬場は得意にしているうえに、同距離でも2着が見られました。
1ハロン長い距離では最高4着と連対こそないものの、同距離で不良馬場を2着してスタミナは足りていると見えました。
そうして本命が決まりましたが、対抗にはランブリングアレーで、同馬には1ハロン長い距離の連対実績が見て取れました。
前走の愛知杯こそ当日より1ハロン長い距離でしたし、ここを2着なら傾向的にも期待できるだろうと思いました。
こうして本命・対抗が決まり、ワンツー決着となったのですが、ランブリングアレーは馬体面も予想する際に加味してあります。
これが最終的に対抗へと推す一因にもなっていますので、次は重馬場を味方にできる馬体についても触れて参りましょう。
重馬場向きの馬体
上記画像は見事優勝したランブリングアレーの前走時で、このときから同馬の馬体面は重馬場向きだと思っていました。
そのため中山牝馬ステークスでの予想を進めるに至っては、同馬の馬体面も加味しながら、予想を固めようと思いました。中山牝馬ステークス2021予想・本命はロザムール
その馬体面はぴっちりと張って、無駄の無い全体をしていますし、ツヤも良く、伸びやかな腹周りと真っすぐな体幹を持っています。
重馬場と言うと「立ち爪」が良くて爪を強調する人もいますが、一部分だけに集中するより、全体を見て判断をしましょう。競馬に勝ちたい
一部分だけに固執することは予想の全体を脆(もろ)くしますし、その苦労や集中に見合うほど成果が上がらないのが事実です。
このことは更に「シークレットオブパドック」で詳しく述べましたから、よろしければこちらもぜひ、ご参考にして下されば幸いです。
重馬場の反動
さて重馬場の予想を経験し、そのレースが終了したとしても、「重馬場の反動」という目に見えない敵がそこには潜んでいます。
重馬場になると負荷がかかるので、その日だけの影響にとどまらず、レースの後まで疲労度の高い競馬の影響が出てくるのです。
それはわたしたち人に例えるとマラソンで長距離を走ったあと、しばらくは長い距離を走るのが苦しいことにも類似しています。
力仕事で筋肉痛になり、2・3日痛みが出るのではなく、1週間とか1か月という鈍く緩い影響があるのです。
これに関しては先述の通り、重馬場がパワーによるものでなく、スタミナによるところが大きいと述べていることを表しています。
そしてこの消耗は馬体面の細化に見受けられることが多く、特に腰周りや下腹に出る「ガレ気味の馬体」になりやすいです。「ガレ気味」の仕上げについて
それは馬体が充実したときに張ってツヤが良くなるのと違って、毛ヅヤも冴えず馬体がしぼんだり、緩くなる形も見受けられます。
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そのためこの影響を考慮した予想が必要になるわけですが、その点も考慮して的中した実際の例も紹介しましょう。
反動の実際
これは不良馬場の一例とした中山牝馬ステークスのあとの、新潟開催となった福島牝馬ステークスのゴール前です。
ここには先のレースで2着したロザムールも出走したのですが、同馬の姿を見つけ出すことはこのシーンからはできないでしょう。
このレースでの同馬の着順は13着という結果でしたが、2番手追走から位置を下げて、直線力なくゴールしました。
上位の3頭が1→6→5番手という4コーナーの位置取りで、基本は前残りにも関わらずこのような結果が出てきたのです。
これは明らかに前走の馬場の反動が見られた走りでしたし、馬体も少々緩さが目立って毛ヅヤも冴えない馬体面でした。
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重馬場の反動の怖い面は、一流調教師をもってしても、簡単には取り除けないことや、走らせないと分からないことです。
ロザムールの上原調教師は一流調教師に間違いなく、レシステンシアらの父馬であるダイワメジャーなども育てています。
そういった馬を育てるプロでも反動の影響を受けますから、更に結果からキャラを把握して次につなげるのが大事なのです。
こういったことはレースの予想と回顧の両方が必要なので、数をこなす中で復習もして、しっかりと受け止めて参りましょう。
反動が見られなかった例
また重馬場や不良馬場を使い出走してきたにも関わらずに、全く反動なく走ってくる馬も同じように見受けられます。
先の中山牝馬ステークスの勝ち馬としても紹介している、ランブリングアレーはその次走でヴィクトリアマイル2着としました。
反動がなかった理由としては一つ目に重馬場向きの馬体で、前走の消耗戦が比較的苦にならなかったという点です。
そして二つ目は距離の短縮で臨むローテーションであったことと、三つ目はそもそもマイルの距離が同馬には短いということです。
そういう意味ではこのレースの際、優勝したグランアレグリアにも、前走重馬場からの参戦で当てはまった点が二つあります。
それが距離短縮ローテーションと、マイルの距離だったという2点で、上記の反動のあったロザムールとはこの点が異なっています。
またグランアレグリアも重馬場が不得手の馬体とは言えませんので、結果的に反動の影響はあまりなかったようにも思います(ただ、重馬場得意とも言えないですが)。
つまりはその馬自身の保持するスタミナと次のレースの消耗、この二つが反動を考える上ではポイントとなることでしょう。
こういった要素は実例による説明が分かりやすいことなので、敢えて取り上げたところでしたが、あくまでこれもほんの一例です。
ただ予想の足掛かりになる可能性も決して小さくはないので、このような事例も予想の足しにしていただけたらと思っています。
重馬場・不良馬場で起きること
後半ラップが遅くなりやすい
さてここからは重馬場・不良馬場になると起こることを伝えますが、まず伝えたいことは後半ラップが遅くなりやすいことです。
これは先にあげた中山牝馬ステークスが分かりやすいですから、早速そのラップをここに全て掲載していきたいと思います。
中山牝馬ステークス2021(ラップタイム):13.1 – 12.1 – 12.5 – 12.5 – 12.4 – 12.3 – 12.7 – 12.8 – 14.4(JRA公式ページより)
この一つ一つは1ハロンごと、先頭馬が走ったタイムですが、最後の1ハロンでは14秒4という時計がかかりました。
中山はこの部分が坂道で普段からタイムがかかるのですが、それにしても良馬場時と比べて2秒ほど遅いタイムと言えます。
現在芝は改良が進んで良馬場だと最後の3ハロンで、32秒から33秒くらいが出る馬場となっています。
このレースでは上がり3ハロンで39秒9を記録して、40秒近いタイムによってフィニッシュしたことが分かっています。
これはつまり最後の直線でのスタミナが問われたという話で、スパッと一瞬で切れるタイプに厳しい状態になったわけです。
対して長く良い脚が使える差し馬には時間の余裕があり、スタミナを活かし差を詰めることも可能な状態とも言えるのです。
このことから勝ち馬に輝いたランブリングアレーが届いており、前で粘ったロザムールが最後2着というのも頷けるのです。
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実際最後が遅くなることで、ペースに差が出やすくなりますから、前半のタイムの方が速めのハイペースになりやすいと言えます。
レース傾向とペースの読み方でも詳しく伝えたことでしたが、前半が速いと先行馬には余力が最後残りにくいのです。
短距離戦ならスタミナが尽きず一気に駆け抜けることができても、マイル以上の中距離ともなれば影響力は着実に増します。
そのため1ハロン長い距離での実績を見ることを挙げましたが、それくらい全体時計としては遅くなるタフな馬場となるのです。
トップスピードで走りにくい馬場
重馬場や不良馬場ではラップが普段からかかると伝えましたが、それはつまり競走馬にとってはトップスピードが出しにくいのです。
特に芝は馬場のクッションが利き反発力が低下するのですが、それに加えて上滑りしやすい馬場になることも伝わってきます。
競馬予想ではトップスピードの速い馬が人気に推されるので、これが出ないとなったら穴馬が入って荒れることにもなるのです。
そこで攻略の手がかりとしてはこの馬場を味方につけられる馬、得意だったりスタミナがあったりすることが重点だと述べました。
更にそれだけではなく性格や走法についても意味があるので、これについても少々お話しをさせていただきたいと思います。
道悪のために折り合ったキセキ
キセキは菊花賞勝っとるスタミナが活きた。出負けはしたけど、道悪って馬が用心して走るで案外折り合うの。やったと思ったはずやけど、さらに鬼がおったね。サートゥルナーリアは道中進みが悪かった。ラッキーライラック共々、改めて良馬場で見直したい。人気変動しそうな秋は予想しがいがありそうや。
— 安藤勝己(アンカツ) (@andokatsumi) June 28, 2020
これは稍重での一戦だった宝塚記念で2着に伸びた、キセキに対して安藤勝己元騎手がツイートした内容です。
このときの勝者クロノジェネシスは稍重以下では3戦全勝、更にこのレースを勝って4勝目とした「重馬場の鬼」と言えます。
そのライバルから差はつきましたが、58kgで2着に入って、一年振りにGⅠで馬券に絡んだのがこのときのキセキです。
キセキは行きたがる素振りを見せて、中々折り合いが上手くいかずに、それまで4戦連続馬券に絡めないでいた一戦でした。
それが馬場が悪化したことにより、折り合いに進境があったことで、一気にGⅠ戦で2着まで浮上する一因になったのです。
キセキは元々菊花賞の際、不良馬場で勝利を挙げましたし、そのあとは反動もありましたがスタミナに問題ないタイプです。
この頃の同馬が折り合い難で馬券から外してしまった人も、こうした見解を知っていたなら的中も有り得たかもしれません。
「馬場の悪化」とは呼んではいますが、恵みの雨になる場合もあって、気性面が矯正されることもあるという良い事例となりました。
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ピッチ走法のクロノジェネシス
上の画像は先にお伝えした2020年宝塚記念、稍重馬場で6馬身離したクロノジェネシスのゴールシーンです。
この2着に折り合いで進境を見せたキセキが入着しましたが、安藤元騎手の仰る通り、それを上回る「鬼」がいたのです。
それこそがこの馬場で圧勝したクロノジェネシスに他なりませんが、同馬の走法は他馬と比べて回転の良いピッチ走法です。
実際動画を見ればキセキとはだいぶ完歩(馬が四肢を使い切る一歩分)の大きさが違って、かなり回転が速い末脚を繰り出していることが窺えます。
ピッチ走法はぬかるんだ馬場を小気味よく駆けることができますが、滞空時間が短いことから脚抜きが良い走法と言えます。
このため昔からこの走法は重馬場に強いとも言われますが、これについてははしくれも同様、重馬場に強いと感じています。
ただし大跳びのキセキが2着で、3着モズベッロもそうですから、必ずしも大跳びが悪いかと言えばそうとは言えないところです。
それでもこの2頭から6馬身、差を開いていることもありますし、ピッチ走法が有利と見るのは相対的には有りと言えましょう。
この走法をレースに出る前に見抜く方法もまたありますので、次はその点についてもしっかり、お伝えしていきたいと思います。
返し馬を使う
はしくれはパドックのプロとしても活動する予想家でありますが、ピッチ走法を見極めることはパドックからはやや難しいです。
上記画像はまだ戦歴のない、新馬戦のゴールとなるのですが、ここで優勝したヴィクトゥーラにはパドックでも印を回しました。
▲1着→◎2着→〇11着→☆12着
このような結果になったのですが選出時点では馬体だけ見て、走法はレース映像から見て初めて確認したところでした。
パドック時点ではやや間隔の詰まった歩様を見せていた馬で、重馬場には向きそうなタイプだと、直感して印を回しました。
そのためレースで確認したとき同馬がピッチ走法であるのを、「やった」という気持ちで眺めながら観戦したことを思い出します。
これをレース前に知っておくには「返し馬」が役立つところなので、時間的に余裕がある時にはこれも見ておくのが得策でしょう。
返し馬では目一杯走らずレースと違うことも確かですが、完歩の大きさを見極めるにはパドックよりも分かりやすいでしょう。
また余談ですが2着の本命クリーンスイープに関しましては、爪は薄く、重に向くと言われる立ち爪タイプではない馬でした。
重馬場の馬体について先述したことの裏付けにもなりますが、ここに固執するよりは全体を見て判断する方が良いでしょう。
このことは稍重2戦2勝のディープインパクトにも言えましたし、同馬を父に持つレイパパレなど、道悪不問な馬も多いです。
これまで多くの馬を確認し、重馬場は立ち爪かどうかよりも、走法の方が分かりやすいので、改めてそれも記しておきます。
また馬体面から重適性を見極める方法につきましては、「シークレットオブパドック」に詳しいのでそちらもぜひご覧ください。
*プロの相馬師の直前予想は
直線で馬群がばらける
画像のレースは2017年キタサンブラックが優勝をした、不良馬場開催だった天皇賞秋の直線の一幕です。
東京競馬場は幅があって広いコース形態になりますが、各馬内目を避ける位置取りから横にずらっと広がって見えます。
重や不良など道悪の際は普段から使う内目の芝生が、より傷みが出やすい箇所ですからその場所を避けるようになるのです。
競馬はコンマ1秒を争う時間との戦いになりますから、傷んでぬかるんだ脚を取られるインよりも外を選んでいきます。
これは開幕したばかりの馬場と開催が進んだ馬場で違って、開催が進んだ場合の方がより顕著な傾向が見られます。
普段の良馬場であれば外目はインよりも距離ロスがありますから、できるだけコーナーでロスを削りタイトに回ってきたいところです。
ところが道悪になるとこうした動きが出てくることも多いので、各馬のポジショニングの想定は強めにやっておくのが良いでしょう。
それというのもコーナーで膨れて各馬良い馬場を探してきますし、あまりインの馬が内を避けると外は膨れすぎてしまうからです。
こうなると距離ロスが大きいので良いところを回ってこられそうな、位置取りを選択できる人馬が優位に立つところと言えるでしょう。
カーブで膨れず良い馬場を突いて直線伸びて来られそうな馬が、スタミナ勝負の道悪の際はより重要な要素となるのです。
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枠の有利不利が薄まる
競馬予想において枠順には重要な意味が潜んでいますが、何と言っても最大の要素は展開に影響することでしょう。
逃げ馬が内に入った場合と外に入った場合などは特に、前半のペースの違いになって現れやすい特徴があります。
このあたりは枠順の有利不利。競馬にどう影響する?を見れば、詳しいことが書いてありますので、そちらもぜひ一度ご覧ください。
そしてこの枠が重馬場になると、馬場の良いところが有利となって、結果的に有利不利が薄まりやすいという話にもなるのです。
これは実際は出走馬により展開がかなり異なりますから、一概にそうなると言えるようなはっきりした事象ではありません。
ただ2020年のGⅠの高松宮記念で優勝の、モズスーパーフレアなども不利と言われた外枠で優勝しました。
このレースは逃げ馬の連対も過去10年同馬一頭ですし(2021年現在)、重馬場になったことの影響は確かに感じられると思います。
2着にはグランアレグリアですし、インで粘ったことを考えると、スタート直後に良い馬場を走ることができた影響を感じます。
またこのレースでは同馬と逆に追い込みで2着に食い込んできた、2014年の8番人気スノードラゴンの名も挙げられます。
この時は不良馬場まで悪化し17番枠スタートでしたが、各馬外目を回していくなかでその外から差しての2着でした。
このレースでは2012年~2021年の10年、大外枠が馬券になったのは良馬場ではただの一度きりです。
代わりに稍重以下では4回馬券内を送り出しているので、良馬場時とは明らかに違った傾向を持つレースと言えましょう。
このように重馬場や不良馬場になると良馬場のときとは違って、明らかな傾向的な違いが出ることもあるので確かめましょう。
ダート競馬では事情が異なる
さてここまでは主に芝について重馬場の話をしてきましたが、ダート競馬では芝とは全く事情が違うのが競馬なのです。
地面が土で、ぬかるむと滑ってスピードが出せない芝と違って、ダートは砂で降雨で固まるとスピードの出やすい馬場になります。
これは一目瞭然のデータが存在するところでありますから、そのデータについてまずは早速お伝えしていきたいと思います。
まずは芝のレコードタイムですが、3歳以上22距離中で、良馬場以外で記録されているレースは一つたりともありません。(芝のレコードは全てが良馬場)
これがダートのレコードタイムでは3歳以上18距離中で、良馬場以外で記録されたのが、なんと15距離を数えるのです。(ダートレコードはほぼ重以下の馬場)
それも不良8、重7レースで稍重はゼロという数字であり、芝とは殆んど真逆と思える傾向がはっきり出ているのです。(2021年5月現在:JRA公式ページの「レコードタイム」より)
ダートの良馬場でレコードを持つクロフネが出した2距離以外では、現在開催のない東京の1100mの距離1つです。
このクロフネは芝でもGⅠを勝っているほどのスピード馬ですし、かなり規格外の馬でしたので納得できるところではあります。
それ以外の舞台として現状、ダート競馬では重以下の方が、スピードが出やすい馬場になるのでこの点を加味して予想しましょう。
そしてダートでも重馬場の方が実績を挙げる馬もいますので、重馬場実績を確かめるのは芝馬となんら変わりありません。
そのうえでスピードが出る競馬がより得意な馬を見つけることで、ダートの重馬場では多少なりと、的中に近づいていけるでしょう。
重馬場・不良馬場を決める基準
含水率
上の画像はJRAの公式ページからの引用ですが、このように「馬場情報」画面から「含水率」の確認ができます。
これはどれくらいコースの内部に水分があるかを表していて、そのパーセンテージが多い方がより湿った状態となるのです。
測定時刻が朝早くなので開催中に変わっていきますが、レース当日のスタート時点の予測には役に立つところでしょう。
また含水率は競馬場ごと、良馬場の範囲も違うところで、各競馬場の水はけの良さが違うことも明確に分かります。
良馬場と言っても稍重並みの含水率のこともありますので、走破タイムを予測したいときはここも確認すると良いでしょう。
ただこれはあくまで開催中に変化していく要素でもあるので、その後の雨量や逆に晴天で乾いた場合には違ってきます。
このあたりは予想歴によっても予測の精度が異なりますので、慣れないうちは稍重→重→不良という指標から推測しましょう。
クッション値
先程は含水率についてのお話を伝えたところでしたが、芝の馬場状態につきましては「クッション値」というものも出ています。
これは芝馬場の内部だけでなく、表面の反発を計ることで、時計のかかる馬場であるかどうか確かめられるという情報です。
この数値が高いと硬めになり、スピードの出る路面と言えるため、レコード決着も有り得るような状態になりやすいとも言えます。
対して低いと馬場が軟らかく、湿った状態になっているので、かなりスピードを殺がれる時計のかかる馬場状態と言えるのです。
2020年の9月開始でまだデータに厚みがありませんが、「やや硬め」でも十分に時計は速くなってくることが多いです。
対して「やや軟らかめ」はそんなにお目にかかることのない状況で、これ以下のときはかなりスピードが削がれる状況と見て良いでしょう。
大体普段は10~9での推移になることが多いのですが、標準以内であれば特別な対応はしなくても良さそうです。
晴れて硬めの数値であるときは時計の出やすい馬場と言えるので、割合多いこの状況下には目を光らせておくのが良いでしょう。
足で踏んで確かめる
ちなみに芝状態の確認は、先程のような数値だけでなく、関係者が実際に足で踏み状態を確認しているのです。
雨の場合はどれくらい芝生に水がしみ出してきているかなどの、生の感触を人間の足で確かめることが決められています。
上の画像は路面を整備する方々を写した一コマですが、開催中でこれらの光景に出くわすこともしばしばあるのです。
とにかく中央競馬は芝生の維持管理に情熱を懸けていて、予想するこちらとしても、芝生の推移を知ることは大事なのです。
荒れるレースを攻略するには
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おわりに
当コラムははしくれの経験と実績をもとに執筆しました。
多くの的中を目指す競馬ファンの皆様のお役に立つために、できる限り実戦的なことを記載したいと思った次第です。
重馬場や不良馬場は荒れやすく人気馬が飛ぶことも多いですが、そこには道悪馬場の独特の法則もまた存在しています。
移り変わる種牡馬成績などの変化しやすいデータとは違って、アナログの予想に使う骨子をここにはふんだんに盛り込みました。
これをご覧になるあなたにとって予想力向上に繋がるよう、執筆者として切なる願いをここに託したいと思っています。
また以下の人気3大コラム(&予想例)もリンクを掲載しておきますので、こちらもぜひ、競馬予想の際にご参照くだされば幸いです。
(*芝不良・ダート重で開催の的中予想例:東海ステークス&AJCC2024予想)
競馬予想は一朝一夕で上達するものではありませんが、あなたが幸せな競馬予想で、より良い人生を過ごせますよう―
はしくれ
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