枠順。
通常金曜日に発表され
注目を集める枠順ですが
どういう形で影響するのか
分かりづらいのがこの予想因子。
はしくれが競馬を始めた頃は
あまり気にしていませんでしたが
予想の経験が増えるほど
大事な要素だと気づかされます。
競馬新聞などを見ていると
馬柱こそ普通に出てはいますが
記者の印の多くは枠順の
確定前に出された予想です。
紙媒体では印刷時間が
どうしても必要になりますから
原稿の締め切りを考えれば
こうなるのは仕方のないところです。
ですがデジタル全盛時代で
出馬表もすぐ手に入る今
個人レベルで予想するなら
枠順の確認は必須です。
そこで今回は枠順について
どのような考え方があるのか
見方と要点のポイントを
掘り下げて参りたいと思います。
☆1枠1番は有利?
まず枠順を語る上で気になる
最内枠の有利不利ですが
これははしくれの実感としては
どちらとも言えないと思います。
確かに最内は距離ロスがなく
絶対的有利に思えますが
実際のレース結果というのは
なかなかその通りに決まりません。
それは馬の実力差によったり
スタートの良し悪しや気性などの
出走馬の個性が関係して
有利不利が出るのがひとつです。
そして芝の傷んだ箇所の有無や
降雨の有無による馬場状態に
スタートの位置やコース形態の
舞台面での良し悪しも影響します。
このように枠順自体にはあまり
良し悪しを決める要素がないため
ただ最内枠がロスがないため
好枠などとは決められません。
膨大なデータから数字だけを
抜き取っても良し悪しが分からないのは
これらの要素を見ていないからで
数値だけでは分からないのです。
そのためここからは枠順について
有利不利を決める要素となる
競走馬の個性面からまずは
考えて参りたいと思います。
☆枠順の有利不利は馬の個性=「馬キャラ」による
まず枠順の良し悪しを見るには
馬の個性の把握が必須ですが
この「馬キャラ」を知るべき理由は
展開の予想が必須だからです。
展開とはどの馬が逃げ馬であり
先行する馬がどの馬になり
差しや追い込みがどの馬になるかの
「脚質」を見極める行為です。
この「脚質」は馬の個性によって
どんな位置取りが得意なのかや
スタートの巧拙までも含めた
得意な展開を物語っています。
そして逃げ馬が外枠の枠順に
入ってしまったときというのは
似たようなタイプ(同型とも言う)がより内枠に
居ないかどうかを確かめてみましょう。
もし居た場合は内枠の馬が逃げ
外枠の馬が逃げられないまま
好走リズムが掴めずそのまま
凡走することがよく有るのです。
ヴィクトリアマイル2020の
コントラチェックもそうでしたが
トロワゼトワルがまず逃げたために
2番手に控えて競馬をしました。
2頭は共に逃げタイプですから
大外枠のコントラチェックにとって
トロワゼトワルよりもスタートから
不利のある枠順と言えました。
正直はしくれはそれを踏んでも
コントラチェックが逃げると予想し
そういうふうには行かなかったのを
反省する展開になりましたが…
このように得意な脚質により
リズム良くレースができるかどうか
枠の有利不利が馬キャラによって
決まってくるのがひとつです。
それと気性面による枠順の
良し悪しが見られることもあるため
それについても馬の個性として
伝えておきたいと思います。
☆馬の気性的に良い枠がある
あなたは競馬の枠入れの際に
順番があるのをご存知ですか。
中央競馬の枠入れは最初
奇数番号の各馬から入れられ
次いで偶数番号の各馬で
最後大外の馬が入ります。
この時間差は僅かではありますが
臆病な生き物の馬にとって
ゲートに閉じ込められる時間は
短く済むのが理想的と言えます。
これは騎手でも枠入りの際には
特に警戒すると言われていますし
待ち切れず暴れられたら逃げ場が
ないのでそうなるのも分かります。
気性面に問題のある馬や
待たされることを嫌う馬には
後入れで待たずに枠に入れる
偶数番は望ましいでしょう。
これらが実際に好走例に
結び付くことがあるかどうかは
対象馬の実績にもよりますし
関係者コメントも役に立ちます。
特定の条件で好走する
クセの強いタイプを選ぶ時や
ゲート難の馬の取捨選択に
考えたい事柄と言えるでしょう。
一方で全く枠を気にせず
結果を出す馬も多いですから
あくまで枠入れ順の有利不利は
個性によるのは確かです。
とはいえ枠の良し悪しを知るのに
無関係とは言えませんから
予想の精度を上げるために
知っておいて損はないと思います。
それでは次はコースや馬場状態の
舞台面での枠の影響を
実際のレースを例に挙げつつ
考察して参りましょう。
☆コース形態による有利不利
ヴィクトリアマイル2020では
当該週からコース切り替えで
それまでのAコースの使用から
Bコース使用へと変わりました。
Aコースとは内埒(うちらち)一杯の
コースの最内を回る舞台であり
Bコースはそこから3メートル
外に仮柵が設置されます。
こうして3~4コーナー付近と
直線を含めた芝の傷みが
ほとんどなくなってまた内側が
きれいなコースに変貌します。
荒れた馬場で支障が出ないように
開催側がとる施策ですが
これによってインが復活し
より伸びやすくなるのが分かります。
逃げ馬にとってはインを取り切り
粘りやすくなるということであり
差し馬でも内に寄せながら
競馬をする馬が多くなってきます。
こういう芝状態にあるときは
インの前は粘りやすいですから
積極策に出た馬が早めに
勝負を決めやすくなるのです。
(いわゆる「高速馬場」)
ヴィクトリアマイル2020では
逃げたトロワゼトワルが4着で
2番手になったコントラチェックが
14着という結果でした。
自分の型に上手く持ち込みつつ
芝の良いインを取り切って逃げた
内枠のトロワゼトワルの方が
結果が良かったのは納得です。
それでもどちらも馬券圏外で
直線の長さも響きましたが
逃げ馬2騎の枠の有利不利の
具体例としては好例と言えました。
☆展開・脚質的に不利を受けやすい枠
それでは今度は逃げ馬ではなく
差し馬の有利不利になりますが
ヴィクトリアマイル2020では
内枠の差し馬には不利でした。
前に行き切って粘り込む馬と
好位(こうい=先行から差しの自在性のある位置)
から前を捉えに行く馬とが
早目のスパートでインを狙って
進路が塞がってしまうからです。
後ろでじっと脚を溜めながら
タイミングを計っている馬には
直線で仕方なく外に出して
追い込まなくてはなりません。
こうなると外に出すタイムロスや
内外差のない芝状態で
スパートの遅れを取り戻すほど
前との差が詰まってはくれません。
インが荒れていて走りにくかったり
各馬がばらけていれば進路取りにも
選択の余地が生まれるのですが
こうなると外に出すしかないのです。
そうこうするうち前で粘り込む
馬たちがどんどんゴールに迫り
差し馬は余力十分とはいえ
追いつかないまま終わるのです。
このあたりは最内の3番人気
ラヴズオンリーユーなどがそうでしたが
差して結果を出してきた同馬にとって
最内枠は不運だったことでしょう。
☆仮柵の変化をチェック
先述のように傷みのカバーに
仮柵(移動柵)が設置されていますが
冬場の京都競馬場などでは
逆にこれが取り払われたりもします。
それまでは芝の養生のために
仮柵で守っていた状態が
取り払われると最内の馬場に
生きた芝生が突然復活します。
こうなると内伸び馬場が現れ
騎手もそこを狙って走りますし
冬場の京都は内が有利だと
定説化されていたりもしました。
突然現れた生きた芝生は
グリーンベルトと呼ばれたりして
内枠を引けるかどうかによって
結果が変わるのも常でした。
ただこのところ芝も改良され
冬場でも荒れにくくなった上に
あまり内外の差が出ないような
管理技術も発達してきました。
そのため内が良い日もありますし
外の方が良いこともありますが
このように仮柵による変化も
枠を左右しているポイントです。
これについてはJRAの公式の
サイトで確認できますので
どのような馬場が使われているのかも
きちんと把握しておきましょう。
☆馬場が渋ると起こる現象
また降雨による馬場悪化のため
予想が難しくなるようなときには
枠順の有利不利の傾向が
その日のうちにコロコロと変わります。
最初は内枠が良かったものの
最終レースでは外が伸びたり
内側の馬場が荒れて外差しが
天国になることなどもあります。
またそうしてみんなが内目を避けると
インを突いた馬が逃げ粘ったり
普段以上に展開が読めずに
高配当が続いたりもします。
こうなると最早枠の良し悪しは
「分からない」というしかありませんし
その日のレース結果の推移から
判断するしかないでしょう。
どうしても読めない時というのは
あって仕方のないことですから
謙虚に予想を進める上での
姿勢としてもそれを記しておきます。
また馬場悪化時に競馬が行われ
そのあと乾くと馬場が荒れていますが
こうなると雨が上がった後でも
影響が残るので要注意です。
特に内は傷みが大きいので
芝が不良馬場になるようなとき
開催後のレースは要注意で
翌日以降も警戒しましょう。
それでは次にコース形態による
有利不利の例を伝えて参ります。
☆浦和ダートマイル
話が地方競馬になりますが
浦和競馬場のダートマイル(1600m)は
3コーナー途中からスタートする
非常に珍しいコースです。
ただでさえコーナーがきついために
外の馬にダッシュ力がないとき
内で5分のスタートを切られると
追いかけるのはかなり苦しいです。
はしくれがこのコースを知ったのは
南関東のビッグレースの
桜花賞(牝馬限定SⅠレース)の予想を
初めて行ったときでした。
このコースは何か変だぞと思い
VTRを眺めてびっくりし
こんなスタートの位置もあるのだと
一瞬目を疑ったほどです。
こういったコース形態によって
枠順の有利不利もあるため
スタートの位置やカーブのきつさも
できる限り把握をしておきましょう。
さすがにこれくらい顕著な例は
他に類が見られないものなのですが
コース形態と枠が密接に
関わっている一例と言えましょう。
☆新潟の直線1000m
話を中央競馬に戻しますが
枠順の有利不利を思うと
顕著な例に新潟競馬場の
直線競馬が挙げられます。
目を瞑って外枠馬だけを買い
実際に当たったこともあるほど
このコースは外枠が有利ですから
最初は驚いてしまいました。
段々と内枠馬の活躍も
見られるようになってはきましたが
オッズの偏りが見られるように
やはり外枠有利が定説です。
(2020年5月現在)
なぜこのようになるのかと言えば
通常のレースではカーブがあり
内側を周るのが普通なため
外の芝生が傷まないからです。
きれいな芝の上を走れる上
外埒を頼って真っすぐ走れ
外枠を引いた各馬にとっては
有利な展開になりやすいです。
直線1000mに関しては
「大外が最内」
と言うくらいで
これも耳タコかというくらいに
聞かれる顕著な例だと思います。
こういったコース形態によって
枠順の良し悪しがありますから
収支改善を求める以上は
その事実も把握しておきましょう。
☆枠順の有利不利のまとめ
ということで今回は枠順の
有利不利を伝えてきましたが
最内枠が最もロスが少なく
有利という話ではありません。
またデータを扱う際にしても
コースごとに分析が必要であり
安易に内が外より何%
有利な枠などとは断言できません。
ですから競馬予想をする際には
予想するコースを頭に入れて
コース形態や馬場状態など
把握してから臨むのが大事です。
それでは今回のコラムについて
最後にまとめておきたいと思います。
1.競馬新聞の予想印は枠順未確認のものがある
2.最内枠は距離ロスは無いが、それだけで有利不利は決まらない
3.脚質や気性などによる馬の個性面により有利不利が変わる
4.馬場状態やコース形態による、舞台面での枠順の有利不利がある
つまり枠順の有利不利とは
馬の個性面と舞台面の2つが
しっかりと噛み合っているかどうかが
分析する上で大事なのです。
馬キャラと枠順が合致すれば
有利な展開も見込めますから
地道に個性の把握に努めて
予想を強固にして参りましょう。
競馬の収支改善への道は
一朝一夕とはいきませんが
一歩一歩を着実に歩めば
必ず展望が開けることでしょう。
枠順の有利不利を見極めて
更なるデータ予想の前進をなし
あなたが楽しく競馬の収支を
改善されることを願います。
*「データ予想は大変…」という方は
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