名馬サクラバクシンオーが持つレコードを塗り替え、
イスラボニータが引退を優勝で飾った阪神カップ2017。
鮮やかな走りを披露してきた彼らしい勝負根性を披露し、
ファンの目にいつまでも強い姿を残してくれた同馬。
ダンスディレクターとの叩き合いには緊張が走りましたが、
終わってみれば全てが丸く収まったという一戦でした。
これで皐月賞を含む重賞6勝という輝かしい実績を挙げ、
引退後は社台スタリオンステーションで種牡馬入りします。
まるで父フジキセキのアフターストーリーのような、
鮮やかな記憶を残した優駿の最後のレース。
その最後の一戦となったこのレースを振り返りつつ、
同馬の軌跡を思い浮かべて参りましょう。
それでは先ずは阪神カップ2017の予想からご覧頂き、
結果の回顧、イスラボニータの軌跡へと参りましょう。
阪神カップ2017のはしくれの予想は以下の通りでした。
<阪神カップ2017予想 印&買い目>
◎イスラボニータ
○レーヌミノル
▲ダンスディレクター
☆シャイニングレイ
買い目・・・単勝○100円、ワイド流し◎ー○▲☆各100円、計400円。
それでは結果です。
<阪神カップ2017結果>
はしくれ・・・的中です!
応援下さった皆さん、誠にありがとうございました(*^^*)
はしくれの本命◎イスラボニータが優勝・・・!
引退の花道を飾ってくれて、本当に嬉しく思います。
名手・ルメール騎手の的確で冷静な判断力が実った、
素晴らしい一戦でした。
それでは早速レースを振り返って参りましょう。
まず、スタートですが・・・。
ほぼ揃った飛び出しになりました。
外の方でシュウジがちょっと後手を踏んでしまいますが、
他の各馬はそれぞれ自分のポジションを取りに行きます。
序盤は予想通りにアポロノシンザンが先頭に立ち、
以下トウショウピスト、☆シャイニングレイが先団を形成します。
◎イスラボニータは▲ダンスディレクターの後ろでこの位置。
この時点で既にダンスディレクターが前に居るのには驚きました。
はしくれの予想では差してくるものと思っていたので、
これは武豊騎手の判断によるものでしょう。
前半の600mは33秒6で通過します。
かなり速い流れでしたが、それだけ馬場も良いのでしょう。
内目の芝が生きている上、Bコース使用で前は止まりそうにありません。
3~4コーナー中間に差し掛かりました。
まだ前の2頭に変化はなく、
ここで動いていく馬も見当たりません。
後方を追走していたシュウジがかなり離されましたが、
隊列を組む各馬は仕掛けどころを待ち構えています。
4コーナーを回って最後の直線です。
まだアポロノシンザンが粘っていますが、
馬場の外側からはモズアスコット、
真ん中からはダンスディレクターが、
それぞれ良い脚を使って追い込んできます。
赤丸で囲ったイスラボニータはこの位置です。
いよいよ最内でアポロノシンザンが一杯になると、
今度はダンスディレクターが抜け出しを図ります。
そのすぐ後ろでじっとしていたイスラボニータがようやく抜け出し、
外から被せるモズアスコットを押しのけるように進出します。
更に外にはサングレーザーが脚を伸ばして来ていますが、
馬場の真ん中から外の馬には厳しい馬場状態でした。
前の2頭が重なるように一騎打ちの状態になります。
果たしてイスラボニータの末脚は届くのか・・・!!
祈るように同馬をみつめた数秒間でした。
周囲からも不安と安堵が入り混じったような歓声が聞こえ、
首の上げ下げで結果はどちらに転んだのか分かりません。
その後すぐのストップモーションで勝負の行方を確認すると・・・。
やりました!
イスラボニータがハナ差制して優勝です!(泣)
引退の花道を見事に飾ったイスラボニータ・・・。
最後まで闘争心を忘れずに走り抜いてくれました。
今まで沢山の活躍を目の当たりにしてきた、
はしくれも涙目でした・・・。ありがとう、イスラボニータ。
このレースは始まる前から良い予感はあったのですが、
それがこのパドック配信での印に現れています。
ご覧の通り、イスラボニータはパドックでも◎でした。
驚いたのは栗田調教師の仕上げで、
今日は完全にマイラーの馬体でした。
いつものイスラボニータはやや中距離向きの馬体でしたが、
今日は1400mをはっきりと意識した馬体で、
とてもふっくらとツヤが有り、ボールのように張りのある、
短距離向きのつくりでした。
こういう距離やカテゴリーによってつくりを変えていけるのは、
よりプロフェッショナルな高度の技術が必要になります。
やはり管理する栗田調教師の腕もあっての、
イスラボニータだったと言えましょう。
因みにパドックの印では、
◎イスラボニータ=優勝
○サングレーザー=3着
▲ビップライブリー=5着
☆モズアスコット=4着
と掲示板独占でした。
では、当ブログ予想の2着▲ダンスディレクターはと言いますと・・・。
完全に太め残り!
というのが、率直な印象でした(○7着レーヌミノルともに)。
実際にも発表が+8kgで完全に太いと思ったのですが、
走ってみたらあれよあれよとイスラボニータを脅かす2着。
これには名手・武豊騎手の巧さを感じずにはいられません。
外国人騎手が跳躍している現在の日本の騎手界ですが、
やはりユタカ・マジックは、今尚生き続けています。
こういう太めの馬に乗るとルメール騎手なども先行しますが、
やはり名手の判断は結果に直接影響します。
ただ、この手綱に応えた馬自身も大したものだと言えましょう。
ダンスディレクターにとってこの阪神芝1400mは、
余程相性が良いのでしょう。
それではここからは優勝&引退を決めた、
イスラボニータの軌跡を振り返って参りましょう。
まず、同馬のデビュー戦ですが、
2013年6月2日の東京芝1600mでした。
2番人気ながら中団から1馬身4分の1差し切って快勝、
初戦をものにしています。
続く2戦目の新潟2歳ステークスでは、
大物牝馬ハープスターと対戦し、3馬身差の2着に入線しています。
このハープスターは後に3歳牝馬で凱旋門賞に遠征し6着、
ジャスタウェイ、ゴールドシップに先着を果たしています(勝ち馬トレヴ)。
この大物には及びませんでしたが、
その後のいちょうステークス、東スポ杯2歳ステークスを完勝、
連勝を決めています。
特にこの東スポ杯2歳ステークスでは、
サトノアラジンを5着に下し、レコードで駆け抜けています。
これで次年度への期待が一気に膨らみました。
2歳から3歳になり、共同通信杯を快勝、
いよいよ皐月賞の大舞台が見えてきました。
この皐月賞では1番人気こそトゥザワールドに譲ったものの、
4コーナーからもの凄い脚で一気に前を飲み込みました。
中山不安説が出ていた事も、今となっては懐かしい思い出です。
この皐月賞が唯一のGⅠタイトルになるとは思いませんでしたが、
その後も同馬は息の長い活躍を見せてくれます。
ダービーではワンアンドオンリーの末脚に屈しましたが、
これで同馬の距離適性がはっきりしたと思います。
セントライト記念で重賞を4勝すると、
この後2年5ヶ月という未勝利期間が続きます。
これは本当に馬にとってもファンにとっても辛い時期で、
いつもひた向きな走りを見せるこの馬にとって、
勝利できないという感覚はどのように感じたでしょう。
周囲からも早熟説や世代レベルの疑問が聞かれ、
応援するファンの心も苦しい一時期でした。
中々突破口が掴めずにいましたが、
ようやく光が差し込んできたのが同馬のマイル戦本格参入でした。
元々デビュー戦をマイルで勝利し、
マイルチャンピオンシップでもモーリスの3着があります。
社台の勝負服で皐月賞馬のマイル参戦というと、
ジェニュインが浮かびますが、
このジェニュインはイスラボニータの父フジキセキが怪我で離脱後、
皐月賞を勝った馬ですから不思議な縁を感じます。
マイルで無敵をアピールした父フジキセキの血が騒いだのか、
2016年秋の富士ステークスではついに2着に食い込みました。
これには新コンビ・ルメール騎手との相性も良かった事も挙げられますが、
マイルの距離がやはり同馬には一番合っていたのだと思います。
セントライト記念から2年振りに、ついに連対を果たしました。
ここから更に3戦連続の2着に悩まされましたが、
休養を経て今年2017年4月23日のマイラーズカップでついに優勝。
2年5ヶ月ぶりの優勝により、長いトンネルを脱出しました。
この時はしくれは別の推し馬ヤングマンパワー(3着)を応援しつつ、
同馬がターフを駆け抜けていくのをほっとした気持ちで眺めていました。
その後3戦は勝ち切れないレースが続いてしまいましたが、
再びの富士ステークスでは不良馬場で2着でしたし、
まだまだ現役を続行できる好馬体が光りました。
最後のGⅠとなった前走マイルチャンピオンシップは5着という結果でしたが、
この馬らしい最後まで諦めない競馬をしてくれたと思います。
そして、今日です。
同馬は最後に最高の仕上がりを見せ、
名馬サクラバクシンオーが持つ、
阪神芝1400mのレコードタイムをコンマ4秒縮めてきました。
このタイムは23年間破られなかった記録です。
輝かしい活躍と出口の見えないトンネルから、
有終のレコード勝利と鮮やかな競走生活でした。
イスラボニータが刻んだ足跡は消える事はありません。
子どもたちにその能力がしっかりと受け継がれて、
フジキセキから続く良質なマイラーの資質を発揮してほしいと思います。
(はしくれの相馬眼による距離適性の見方はこちら)
また、この場を借りてイスラボニータ号、
及びイスラボニータの関係者の皆様に心より感謝申し上げます。
今まで沢山の名場面をありがとうございました。
競馬場で子どもたちに出会える事を、
心から楽しみにしています。
*イスラボニータ・プロフィール
父フジキセキ 母イスラコジーン(その父コジーン)
2011年5月21日社台白老ファーム(浦河)産まれ
馬主:社台RH 栗田博憲厩舎所属(美浦)
馬名の意味:美しい島(西)
25戦7勝(8-6-4-7) 重賞6勝(GⅠ皐月賞他)
馬体:マイラー~中距離タイプ(黒鹿毛)